愚痴ひとつこぼさず母が元気でいられるよう笑顔で語りかける毎日

「たまにはマリ子にゆっくりして欲しい」。

そんな思いで東山温泉ホテル東鳳の昼食プランを予約した。

以前一度宿泊したことがある。最上階の露天風呂からの眺めが最高であった。

 

マリ子に伝えるとニッコリ笑った。

 

１２月９日に母が倒れてから東京と雪の会津若松をアルファードで３往復。

１９日に４回目の会津。その間ホテルに１３泊。病院の個室に１２泊。

ビジネスホテルはまだしも、慣れない病院の簡易ベッドは身体にきつい。

マリ子は８階の病室ではサマーベッドであった。疲れもとれないだろう。

愚痴ひとつこぼさず母が元気でいられるよう笑顔で語りかける毎日だ。

本当によくやってくれる。マリ子がいなければ私もここまで出来ないだろう。

 

展望露天風呂からの眺めは最高だ。

ここはタワービルになっており東山で一番高い。眼下に広がる会津若松の街並みは白一色だ。

「何で先月倒れっちゃったのかなあ。あんなに元気だったのに。何かできなかったかなあ」。

ぼーっと景色を眺めながらも頭の中は母のことで回転していた。

 

昼の懐石料理も美味かった。久しぶりにホテルの浴衣で寛いだ。

「マリ子ありがとう」。心の中で呟いた。