昨日緩和ケアの責任者渡辺睦弥先生と面談した。
癌による心と身体の苦痛を和らげ自分らしい生活を送れるようにするケアのことを緩和ケアということを伺った。
癌になると痛み、倦怠感、吐き気などの様々な症状が現れる。
また気持ちの落ち込み、悲しみなどの精神的な苦痛も現れるという。
身体的、精神的苦痛を和らげ、患者の生活の質を維持・向上させるための医療チームが緩和ケアチームだ。
「お母さんは今は元気に見えるかもしれませんが、未分化癌は進行が早いので、いつどうなるかわかりません。年を越す前にその日がやって来るかもしれません。
私たちは薬を使って痛みや苦しみがないよう全力を尽くします。
しかし現実はそういう癌であることを知っていてください。
何かさせてあげたいことがあれば何でも言ってください」としっかりした口調で言われた。
冷静に現実を受け止めようとしても涙が溢れるばかりであった。
「母はお酒や肉、刺身、ラーメンが大好きです。今となっては肉や刺身を食べさせることは出来ません。非常に残念です。母も悔しい思いでいるでしょう。家では毎晩晩酌していました。出来ればお酒を飲むことを許可してください」。
「この部屋は個室です。飲み過ぎなければ飲んで頂いても構いません」。
夕食(のどの管から流す流動食)終了後、スーパーから買ってきたビールで母とマリ子と三人で乾杯した。その瞬間母は笑顔で口パクした。
「美味い!」。それは私とマリ子にもはっきり伝わった。
3週間ぶりのビールは母にとって最高の贈り物だったようだ。母に背中を向けて涙した。
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