東京都市民講師として都立桐ヶ丘高等学校で授業を行った。今回のテーマは「ありがとうは幸せの言葉」。人に「ありがとう」と言葉を発するのはちょっと照れくさい。相手が家族だとなおさらである。東京にいると「ありがとう」より「すみません」を耳にする。悪いことをしたわけではないのに。実家の会津だと、「こんにちは」も「すみません」も「ありがとう」も「どうも」の一言で通じてしまう。みな人に会うと「どうも」と笑顔で声をかけ合う。
起業したての9年前、年商数十万円であった。学校への営業も大変だったが、運転資金の調達が一番苦労した。やっていけるかどうか不安な日々を送った。銀行に伺うと会ってはくれるものの「あなたは大原簿記に勤めていたからお金を貸せたんです。今のあなたには貸せません」。現実は厳しい。人として男として情けない。全く力がないことを痛感した。これ以上どうしようもない状況になり、最後は実家の母に頼むしかなかった。身体が不自由な母にお金のことで相談しなければならない自分が情けない。親不孝者だ。電話をすると「元気か?仕事はどうだ?」。いつもの声だ。現状を打ち明けると、「わかった。いくら用意できるか分からないが‥」と。涙が溢れてきた。レンタカーを飛ばして会津に帰ると200数十万円もの大金を用意して待っていてくれた。心の底から「ありがとう」が出てきた。大事に使い絶対仕事を成功させて、借りたお金は必ず返すと心に誓った。平成16年株式会社にしたとき役員になってもらった。妹にも会津研修センターの副所長として頑張ってもらっている。
桐ヶ丘の生徒たちも自分の「ありがとう」の出来事を発表してくれた。話す生徒も聴く生徒も真剣そのものだった。後に座っていた先生も突然手を上げて「私にも発表させて下さい」と飛び入り参加した。今年最後の授業はとてもいい思い出となった。今日の授業に参加した全生徒が夢を叶えて欲しい。真剣に聴いてくれて「ありがとう」。
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