ご近所の「ちゃんこ谷川」が店を閉めた。ご夫婦で32年間頑張ってこられた。板橋本町に越してきてから9年間、店主の実ちゃん(元力士)には大変お世話になった。仕事を終え、マリ子(妻)と二人で夜遅く伺っても、いつも元気に迎えてくれた。実ちゃんは思ったことをはっきり言う性格で店の常連からの人望は厚い。もう谷川の美味い料理が頂けないのかと思うと非常に寂しい。
初場所で多くの評論家の予想に反して、見事優勝した朝青龍の話題になった。「あのガッツポーズはだめだ」と実ちゃんははっきり言った。「でも」と続けた。「協会はもっとルールを細かく決めて、力士に指導しなければいけない」と。
大人でも子どもでも教えてもらわなければわからない。経験したことがないことは出来ない。
横綱であっても同じであろう。「横綱なんだから出来て当然」。「分かっていて当たり前」では、あまりにも身勝手な意見に聞こえてならない。「やってはいけないこと」はきちんと決めればいいことだ。
相撲でも、野球でも、学校でも、職場でもルールは必要だ。そして個人の好き嫌いではなく、みんなでルールを守らなければいけない。また、指導者は守らせることを徹底しなければならない。最近ルールを守ることが出来ない大人が目につく。大人が出来なければ子どもも出来ない。
「谷川」最後の夜、閉店時間ギリギリにマリ子と二人で駆けつけた。常連客が一人ずつお別れの挨拶をされた。いつになく神妙な実ちゃんの目から熱いものがこぼれた。32年間のいい思い出で一杯なのであろう。口には出せない辛いことも、きっとご夫婦で力をあわせ乗り越えられてこられたのであろう。そんな実ちゃんを見てグッとこみ上げてきてしまった。最後の握手はいつも以上に力強かった。実ちゃんの「やりきった」が伝わってきた。32年間本当にご苦労様でした。
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