12月23日、今日は亡き父の誕生日である。生きていれば今日で74歳だ。今年6月、父の生家、福島県会津柳津町西山温泉で13回忌法要を行った。父の生家は温泉旅館(老沢温泉旅館)である。源泉かけ流しで最高の温泉だ。小さい頃から温泉が大好きで、小学生の頃、夏休みに遊びに行くと、一日に5回も6回も入った。
父はどちらかというと口数が少なく、口より手のほうが早い人だった。小さい頃はよく叱られた記憶がある。3歳下の弟はかなり厳しく叱られていた。6歳のとき、会津若松から埼玉の川口に家族4人で引っ越してきた。父が勤めていた山和食品は会津の山菜や餅などをデパートで販売する会社なため、日曜、祝日も仕事であった。朝早くから夜遅くまで働いていた。今思えば働き者だった。頑張りやだった。酒も強かった。よく友だちや部下を家に呼んで母の手料理で飲んでいた。友だちから休みの日に家族で遊びに行った話を聞くと羨ましかった。うちは殆ど母子家庭状態だったかな。
父との思い出は残念だがあまり多くはない。会話も少なかったと思う。しかし一つだけ忘れられない思い出がある。
中学1年生のときのことだ。弟が新しい机が欲しいと母にねだった。一度言い出すと聞かない弟に母は手こずった。「あっちゃんは今の机でいいよね」。「うん」。本当は新しいのが欲しい。家のことを考えると言えなかった。夜、父が帰って来た。風呂に入っていると、突然扉が開いた。父だった。「本当はあっちゃんも新しい机欲しいんだろう」。「うん」と小さく頷いた。「わかった」とだけ言って父は茶の間に戻った。突然涙が溢れ出た。声を殺して湯船で泣いた。
生きている間にもっと色々話したかった。一緒に飲みたかった。頑張っている姿を見せたかった。
でも、どこかで見ているような気がする。誕生日おめでとう。
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